火災保険の保険料は、どの程度細分化されるべきか?

火災保険水災料率に関する有識者懇談会(第3回)が開催されました。

今回の論点は「料率細分化」。

保険料負担の公平性の向上により、社会全体としてのプロテクションを上げる効果が期待される一方、過度な細分化・料率較差を設けることは、水災補償付帯の促進の観点から、逆効果となる可能性がある、という難しい論点です。

消費者からみた課題

  • 消費者の理解を得やすくするためには、料率区分は、水災料率でも極端に多い区分数とならないほうが良い
  • 区分が細かすぎると、近在の契約者同士で料率較差が生じるなどして、保険の相互扶助性の観点からも、消費者の不満感が高まる可能性がある
  • 保険会社、代理店が誤りなく保険を販売するための仕組み作りが必要となり、募集コストやシステム開発コストの増大が保険料の上昇に繋がる恐れもある
  • 保険料負担の公平性を期すことに重点を置くあまり、消費者の理解が得られにくい複雑なものや消費者の購入可能性を阻害するようなものとならないよう、水災料率の細分化導入に関しては留意すべき

意識調査

  • 洪水に関するリスクは住宅の立地によって異なります。住宅に関する水災保険料が、リスクの大きさによって異なることをどう感じますか。⇒「違いをつけるべきではない」人はほとんどおらず、細分化への理解は得られる。
  • 水災については、ハザードマップの認知度が高く、細分化においてはこれを前提に料率を設定することが適当。他方、実際の細分化にあたっては、ハザードマップで示されるリスク較差をそのまま反映するのではなく、保険の相互扶助性などのさまざまな観点を踏まえて料率を成り立たせる必要がある。こうした経緯を消費者にしっかりと伝え理解してもらう必要。

保険会社に期待される取り組み

  • 消費者のリスク認識向上の観点から、引き続き水災リスクに関する情報提供に取り組むとともに、細分化実施後の募集時等の顧客説明においては、料率の細分化の考え方や料率適用の状況等について説明を行うことが期待される
  • リスク情報は非常に公共性の高いものであり、各社の取り組みも重要であるが、損害保険業界の協力体制の構築や、国との連携もさらに進めてもらいたい
  • 長期契約については、水災リスクが補償されていない契約者等がいるので、より丁寧な説明など付帯率の向上に向けた一層の取り組みが必要ではないか

(2022年2月10日に追加)

水災保険料の地域差 市区町村単位を容認へ

  • 2月7日に開いた有識者会議で、金融庁は市町村別で保険料に格差をつけることを容認する考えを示した
  • 損害保険料率算出機構が、2023年度にも参考準率を定める
  • 損保各社は、2024年度から地域別の料率を設定する見通し

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