米国アクチュアリー会がデータと予測モデルの倫理的な利用に関するプログラムを提供
米国アクチュアリー会の5カ月間、100時間のトレーニング・プログラムが、2022年8月からスタートします。正式名称は、
Ethical & Responsible Use of Data & Predictive Models Certificate Program
プログラムの概要
以下のような内容が学べる模様。
- データ活用にまつわる倫理的問題、リスク軽減のための質問、予測分析やAIの活用が従来のモデル構築とは異なるプロフェッショナルリスクやレピュテーションリスクをどのように生み出すかについて深く理解することができる。
- モデルの説明可能性の重要性とブラックボックスとみなされるモデルに関連する困難を理解するために、ソフトなスキルを用いた実世界の実例と応用で、信頼できるソースから学んだ方法と概念を実践する。
- モデル開発と展開において、意図しないバイアスや予期しない結果のリスクを低減するために、チームワークとコミュニケーションがいかに重要であるかを学ぶ。
このプログラムは、
- eラーニング:7つのeラーニング・モジュールの最後に、理解度を測る自己評価を行い、コンセプトと学習内容を強化。
- コミュニティ:プライベート・ディスカッション・プラットフォームに参加し、他の参加者と交流しながら学ぶことができる。
- インストラクターによるセミナー:コース期間中に3回開催されるインストラクター主導のライブイベントでは、モジュール間のディスカッションや世界中の仲間とつながることがでる。
- アセスメント:修了証書を取得するために、自宅からアセスメントを提出。
eラーニングの内容
7つのeラーニングは以下で構成されます。
モジュール1:ビッグデータと予測モデルの倫理的・責任ある利用について
- データおよび予測モデルの使用に関する倫理的な問題を理解する。
- 保険業界と非保険業界における事例を通じて、モチベーションを高める。
- 保険に特化した文脈を理解する。
モジュール2:規制と倫理的フレームワーク
- 倫理的な問題と法的な問題を区別する。
- 市場や規制の状況がモデルにどのように影響するかを理解する(何が許されるかは、法域や製品によって異なるという意味において)
- データと分析のユースケースを評価するための一般的な倫理的枠組みを理解する
モジュール3:データ
- ビッグデータにおける統計的バイアスの一般的なタイプ(例:選択、オブザーバー、生存、認知)と関連するリスクを軽減するためのテクニックを理解することができる。
- 選択されたデータが適切な利用法であるかどうかの判断を支援。
- データに欠点がないか、また、それが適切に処理され、文書化され、伝達されているかどうかを認識する。
- データの不適切な使用の可能性を最小限に抑え、意図しない用途や結果を防ぐ方法を理解する。
- 禁止されているデータや高リスクのデータ、あるいはデータの組み合わせを使用する際のリスクが軽減されているかどうかを判断するために、適切な質問をする方法を理解する。
- 様々なレベルの禁止事項を含む、倫理的、法的な観点から収集されるデータの種類を理解する。これには、特定のデータソースを選択する理由とその内容、及び利用可能な代替データソースを理解することが含まれる。
モジュール4:分析とモデリング
- モデリング手法が保険会社と被保険者に与えるリスクを理解する。
- 倫理的フレームワークをモデリングに応用する際に、モデルの説明可能性の重要性と一般にブラックボックスとみなされるモデルに関連する困難さを理解する。
- 予測分析における統計的バイアスの一般的なタイプ(選択、オブザーバー、生存、認知など)と、関連するリスクを軽減するためのテクニックを理解する。
- アルゴリズムによるバイアスやプロキシ差別のリスクとその意味を理解する。
モジュール5:導入
- 特徴量選択における倫理的配慮は、モデル構築段階だけでなく、導入後のモニタリング段階でも検討する必要があることを理解する。
- モデルバイアスなどの意図しないモデル効果のリスクを軽減するために、実装の選択、モデル外での調整、モニタリングがどのように利用されるかを理解する。
モジュール6:ガバナンスの組織的アプローチ
- モデル開発と実装において、意図しないバイアスや予期しない結果のリスクを低減するために、チームワークとコミュニケーションがいかに重要であるかを理解する。
- データとモデルを責任を持って使用するためには、説明責任を果たすことが必要であることを理解する。
モジュール7:ケーススタディ
- データおよびモデリングの倫理とガバナンスの概念を実際の状況に適用できる。