アクチュアリアル・サイエンスで統計学会賞を受賞した小暮先生も翻訳に参画した「データ分析のための統計学入門」が無料で公開

アクチュアリアル・サイエンスの貢献で統計学会賞を受賞した小暮先生も訳者に名を連ねる「データ分析のための統計学入門」。国友先生のサイトからダウンロードできます。

小暮厚之氏は我国の黎明期にあった金融工学, また保険数理の新たな展開であるアクチュアリアル・サイエンスにおいて多くの優れた研究業績を挙げている. 特に, ベイズ統計学を市場整合的なリスク評価に結びつける斬新な手法を提案して, 世界的に高く評価されている. またファイナンス関係等の著書の刊行を通して, 金融・保険分野の統計分析の普及, 啓発に貢献し, さらに, 金融工学および保険に関する統計分析を推進する我国の学会等への貢献も顕著である.

小暮氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は, 日本統計学会賞にふさわしいものである.

第 24 回 日本統計学会賞の受賞理由

第1章 データ分析への誘い

統計学は、いかにしてデータを集め、データ分析を行い、意思決定に資する結論を導き出す学問。データとは何か、という点を医療データの事例研究を通じて解説しています。サンプリングやランダム化実験などの解説も、実例を含めて非常に内容が充実しています。

第2章 統計データの記述

RやPythonを使わずに、時間をかけてどのように記述統計量やグラフを作成することの重要性を説く。本章も、実例を含めた問題がたくさんあります。

第3章 確率

統計的手法をより深く理解するために必要な、確率の基礎的概念を解説。冒頭の以下のフレーズが印象的です。初学者は細部にこだわらず、以下のフレーズを信じて読み続けましょう。

統計的手法を応用するには必ずしもすべての内容を理解する必要はない

第4章 確率変数の分布

データ分析でよく用いられる統計分布について解説する章。正規分布、幾何分布、二項分布、負の二項分布、ポアソン分布。いずれもアクチュアリー試験に頻出の確率分布です。

第5章 統計的推測の基本

信頼区間と仮説検定という、アクチュアリー試験の数学の範囲に含まれるパート。本章も事例が多く、実世界での応用例をイメージしながら学べる構成となっています。

第6章 カテゴリカル・データの統計的推測

母比率の推測、カイ二乗検定、独立性検定と、ここもアクチュアリー試験と関連する内容。練習問題も豊富にあるので、過去問を解きつくした受験生にもオススメです。

第7章 量的データに対する推測

本章までに説明した統計的推測の枠組みをもとに、t検定とF検定を解説。くどいようですが、ここもアクチュアリー試験の範囲です。

第8章 線形回帰への入門

非常に強力な統計的手法である線形回帰を取り上げた章。グラフがふんだんに使われていて、残差や外れ値も視覚的に理解できます。

第9章 重回帰とロジスティック回帰

アクチュアリー試験では学べない、でもデータ分析の実務で重要な、モデル選択の説明。以下のフレーズは、アクチュアリーの世界でも超有名ですね。

”すべてのモデルは間違っている、しかしいくつかは役に立つ”

正確に言うとどの統計モデルも完全ではない。しかし不完全なモデルであっても有用なことが多い。間違ったモデルをレポートすることでも我々はモデルを理解しその短所も報告している限り妥当となり得る。

ジョージ・ボックス

重回帰のケーススタディとしてマリオカートも登場している点も味わい深い。

抱負な章末問題の解答例は、日本統計協会から発行される印刷版に掲示する予定とのこと。

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