気候変動リスクシナリオをORSAにどのように反映すべきなのか?

欧州保険・職業年金機構(EIOPA)が、気候変動マテリアリティ・アセスメントの実施と、ORSA(Own Risk and Solvency Assessment)における気候変動シナリオの使用に関するアプリケーション・ガイダンスのコンサルテーションを開始しました。

  • このガイダンスは、持続可能な金融の野望を実際にどのように実施するかについて、詳細かつ実践的な基礎を提供するもの
  • コンサルテーションに含まれる気候変動シナリオのマテリアリティ評価に関する具体的なケーススタディは、保険会社、特に中小規模の保険会社の導入コストを低減し、報告される情報の比較可能性を高めることに貢献
  • 保険業界や再保険業界は、気候変動に関連した物理的リスクと移行リスクの影響を受ける。
  • 保険業界のソルベンシーと健全性を確保するために、これらのリスクのフォワード・ルッキングなマネジメントを奨励することが重要

EIOPAのコンサルテーションは、企業が気候変動リスクに対処する可能性があるORSAについての一般的な見識を示し、損害保険会社と生命保険会社の両方を用いた例を提供しています。

コンサルテーションの目的

  • 業界、監督者、協会との連携を図り、パブリックからのフィードバックを受けるため
  • 保険業界における気候変動リスクの認識を高めるため
  • 気候変動を潜在的なリスク要因として考慮するORSAレポートの数を増やすため

ダミーの保険会社

このコンサルテーションの特徴的な部分は、ダミーの損害保険会社と生命保険会社の例を用いている点です。

損害保険会社

ダミーの損害保険会社は、約2,000万ユーロの保険料収入の小規模な会社で、主に火災などの財物損害と自動車損害の保険を引き受けている。この会社の資産は、主に社債と株式、および一部の預金と現金で構成されている。

この損保会社のSCRは、損害保険に起因するリスクを反映した損害保険引受リスク(62%)、市場リスク(26%)、カウンターパーティ・リスク(12%)の順に大きい。この会社は100%損害保険会社であるため、生命保険の引受リスクや医療保険の引受リスクはない。

損害保険の引受リスクの内訳を見ると、主に損害保険の大災害リスク(71%)が大きく、次いで損害保険の保険料および準備金リスク(25%)、損害保険の解約リスク(4%)となっている。

ダミー会社の引受ポートフォリオは、火災およびその他の物的損害(75%)、自動車MTPLおよびその他(10%)、一般賠償責任(6%)、海上および航空(5%)、所得補償保険(4%)で構成されている。

生命保険会社

以下に示されるアセットミックスは、5社の平均値であり、ダミー会社のものと一致する。

投資クラス割合
社債66.1%
株式12.7%
国債21.2%

ダミーの生命保険会社のSCRは、市場リスクが中心となり、次に生命保険の引受リスク、そしてカウンターパーティーの影響がわずかにある。

SCRモジュール割合
市場リスク60%
カウンターパーティリスク12%
生命保険の引受リスク28%
ソルベンシーの資本要件100%

市場リスクの内訳を見ると、ダミー会社の積極的な資産配分により、株式リスク、スプレッドリスク、金利リスクの3つが大きい。通貨と不動産は重要性が低く、重要ではないと考えられる。

市場リスク割合
株式リスク20%
スプレッドリスク44%
金利リスク27%
通貨リスク7%
不動産リスク2%
市場リスクの合計100%

ダミー会社の引受業務は、「有配当商品」が84%を占め、「定期保険」を含む「その他の生命保険商品」は12%と少数派です。同社は最近、ユニット・リンク商品を提供し始めた。

CERA試験っぽい設定ですね!

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