2022年度の年金額改定:昨年度から0.4%の引き下げに
2022年度の年金額改定
毎年恒例の「年金額改定についてお知らせ」が公表されました。
年金額の改定ルールを見ると…
年金額の改定は、名目手取り賃金変動率がマイナスで、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合、年金を受給し始める際の年金額(新規裁定年金)、受給中の年金額(既裁定年金)ともに名目手取り賃金変動率を用いることが法律で定められています。(参考3参照) このため、令和4年度年金額は、新規裁定年金・既裁定年金ともに、名目手取り賃金変動率(▲0.4%)に従い改定されます。 また、賃金や物価による改定率がマイナスの場合には、マクロ経済スライドによる調整は行わないことになっているため、令和4年度の年金額改定では、マクロ経済スライドによる調整は行われません。 なお、マクロ経済スライドの未調整分(▲0.3%)は翌年度以降に繰り越されます。
厚労省のリリース
- 年金額の改定は「名目手取り賃金変動率」と「物価変動率」で決まる
- 「名目手取り賃金変動率」は0.4%とマイナス
- 「物価変動率」も0.2%とマイナス
- 賃金の方が物価よりも減っているので、「名目手取り賃金変動率」で年金額を改定
ということですね。
ここで、「物価変動率」である総務省の「全国消費者物価指数」(生鮮食品を含む総合指数)の推移を見てみると、
電気代などエネルギー関連の品目で値上げの影響もあり、物価は上昇トレンドがあるようです。
このトレンドが続けば、来年度の「物価変動率」はプラスになるかも。
注目は、来年度の「名目手取り賃金変動率」がどの程度の水準になるのか。
マクロ経済スライドが発動されるか否かも、名目賃金の動向次第ですね。
3つの消費者物価指数
財・サービスの価格には、一時的な変動が大きいものも少なくない。短期的な変動を抑制する目的で、総合指数だけでなく、コア指数やコアコア指数も公表されている。
- 個々の財・サービスの価格をすべて加重平均した総合指数
- 生鮮食品を除く総合指数(コア指数)
- 食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)
(出所)総務省「2020年基準消費者物価指数」を加工して作成
- 消費者物価指数が上昇に転じた2006年に、日銀は量的緩和政策を終了し、政策金利の誘導目標を引き上げ
- しかし、2006年も、コアコア指数はマイナスで、食料品やエネルギーの値上がり分を取り除くと、デフレは依然として続いていた
- 2008年は、原油価格の高騰の影響で、消費者物価指数が上昇するも、コアコア指数はほぼゼロ
- 2014年は、日銀による異次元の金融政策の影響や消費税引き上げで指数が上昇