2022年のフィンテックとインシュアテックの新しいトレンド
今後10年間でインシュアテックとフィンテックの分野を変革する5つの画期的なトレンドを示したマッキンゼーの最新レポート。これらのトレンドは、新しいテクノロジーによって推進・変革をもたらすとしている。
リスク・トランスフォーメーション
自動車保険の分野では、ドライバーから自動運転車を支える人工知能やソフトウェアに、リスクの方向性が変わる。新しいテクノロジーによって、より正確で透明性の高い時代が到来する。人工衛星、ドローン、リアルタイムのデータセットにより、保険会社は施設周辺のリスクを可視化できるようになり、精度の向上につながる。
自然災害後の保険金請求処理は、自動化される。また、生命保険業界では、お客さまのニーズに合わせて保障内容をシームレスに変更できる「ラッピング商品」が導入されるだろう。しかし、これらのテクノロジーの導入が進むと、保険会社は新たなデジタル攻撃者からのリスクに直面することになるというデータもある。
AIの応用
AIの技術は、引受査定、支払査定、サービスを破壊すると予測されている。このシナリオでは、生産性を向上させ、顧客とのより質の高いタッチポイントを可能にするモデルが生まれるとしている。しかし、通信事業者は、流通のやり取りや支払履歴などのデータ資産の可能性をまだ十分に実現していない。大手通信事業者やエコシステムのプレーヤーは、AIの登場を利用して、データや分析に基づいた製品・サービスを生み出していくだろう。
分散型のインフラ
マッキンゼーのレポートでは、大規模なオンサイトのレガシーシステムに依存している企業が抱える技術的負債を、クラウドコンピューティングが解消してくれる未来があると指摘している。業界の発展に伴い、ビジネスは急速に変化し、すべてのコアシステムがクラウドに移行していく。この変革により、保険会社は新商品の発売や顧客サービスの向上など、ますます機敏に対応できるようになる。
マッキンゼーは、このようなクラウドへの移行は、膨大なデータセットの利用に必要な計算能力を実現するために不可欠な要素になると予測している。デジタル・エコシステムがグローバルに発展していく中で、クラウドネイティブな保険会社は、顧客、販売会社、インシュアテック、ヘルスケア・プロバイダー、再保険会社などをつなぐハブの役割を果たすことになるだろう。
自動化と仮想化
RPAは、機械学習と人工知能を組み合わせたもので、バックオフィス業務などのプロセスを自動化する新技術の一つである。マッキンゼーによれば、これらのイノベーションは、サービスや商品を見直すのに役立つという。同レポートでは、「IoTは、機器のリアルタイムなモニタリングを可能にし、クレームが発生する前に対処することができる。同様に、デジタルツインや3D・4Dプリンターは、あらゆる物理的な損害分野の支払フローを一変させる可能性を秘めている。
未来の接続性
IoTが発展し、5Gモバイル技術によってセンサーによるデータの報告できるようになると、生命、健康、財産、商業の各分野の製品が進化し、これまで以上に柔軟な製品が生まれるだろう。デバイスの数が増え、データの収集と共有のスピードが上がることで、お客様のニーズに合った精度の高いサービスが提供できるようになる。5Gの普及拡大により、データを低遅延で共有できるようになり、保険会社が顧客にリアルタイムでサービスを提供できるようになる。