PayPayの成長戦略(保険):コロナ保険はうまくいくのか?
Zホールディングスの決算説明会(2021年11月2日)でも取り上げられていた金融サービスの中の保険サービスがスタートしました。
「PayPay」のミニアプリで「PayPayほけん」を提供開始
「PayPay」のミニアプリから保険に加入できる仕組み。登録者数4,400万人(2021年12月時点)の「PayPay」のユーザーが、アプリから簡単に保険に加入することが可能になります。
ミニアプリで提供される保険
2021年12月18日現在、ミニアプリ上で提供されている商品は以下の7つです。
- ドライブ
- 自転車
- ゴルフ
- スキースノボ
- アウトドア
- 賠償
- コロナ見舞金
コロナ見舞金保険
コロナ見舞金の商品概要を見ると、
- 医師に新型コロナと診断された場合、保険金5万円を支払う
- 保険期間は3か月、6か月、1年(ただし、3か月と6か月は初回加入時のみ)
- 保険料は、3か月の場合500円、6か月の場合1000円、1年の場合2000円
- 加入年齢は18~69歳
- 保険料の支払いは、PayPay残高からの支払い
- 医療、福祉、飲食、物流、金融などのエッセンシャルワーカーが対象
第一スマート少短のコロナ保険
コロナ保険といえば、9月に売り止め(10月から販売再開)となった第一スマート少短のコロナ保険。
「新型コロナウイルス感染症または1類~3類の感染症に罹患したと医師により診断されたときに、特定感染症一時金が支払われる保険」と、多少支払事由が異なりますが、
- 保険期間は3か月
- 特定感染症一時金は10万円
新規申し込みの場合の保険料を見てみると、
申込日 | 保険料 |
2021/4/1~4/30 | 980円 |
2021/5/1~6/30 | 1,270円 |
2021/7/1~8/31 | 980円 |
2021/9/1~10/31 | 2,270円 |
2021/11/1~12/31 | 890円 |
同じ保険期間で比較すると、第一スマートの方が割安感がありますね(12月現在)。
ただし、第一スマートの保険料率は、感染状況を踏まえて定期的に更新される仕組み。
感染者がふたたび増加すると、それに連動して保険料がアップする可能性もあります。
一方、PayPayのミニアプリで提供されるコロナ見舞金は、ダイナミックに保険料を見直す仕組みはない様子。保証期間1年の商品もあるので、供給者の視点でのリスクマネジメントが難しい商品ですね。
成功するかどうかは、今後の感染者の動向次第という感じでしょうか。
PayPayほけん、加入者急増 「コロナ見舞金」好評
- PayPayほけん全体では、1月16日までに約4万件の新規加入者を獲得。
- コロナ見舞金が全加入者の約68%を占める。
- サービス開始以降、同月11日までの1日当たりの平均加入件数は約40件だったものの、オミクロン株の感染拡大で加入者が殺到。
- 12日に約800件を記録すると、翌13日と14日の加入件数はそれぞれ約6700件、約8000件となり、2日連続で1日当たりの最多記録を更新。
- その後も約5500件(15日)、約4300件(16日)と連日新規加入者が相次いでいる。
(2022年1月18日追加)
「PayPay」の登録者数が4,500万人を突破!
- 「PayPay」は人々の生活を豊かで便利にする「スーパーアプリ」を目指す取り組みを促進
- 新型コロナが拡大する中、2021年7月には「PCR検査キット」の提供を開始
- 12月には「PayPayほけん(1dayほけん)」の提供を開始し、その中で「コロナお見舞い金」保険を提供
- 「コロナお見舞い金」は、サービスの提供開始から約1カ月で加入件数は5万件を超える(2022年1月20日時点)
(2022年1月24日追加)
コロナ保険料、4.3倍に上げ 第一生命系
- 第一スマート少額短期は2月1日、コロナ保険の保険料を890円から3840円に引き上げ
- 感染力が強いオミクロン型の流行を反映したもの
(2022年2月2日追加)
損保ジャパン、ペイペイのコロナ保険値上げに
- 2月10日から、ペイペイで販売しているコロナ保険を500円から1500円(保障期間3カ月)に値上げ
- 既存の契約者の保険料は据え置き
- コロナ保険は、1月中旬から加入が急速に伸び、2月9日時点では35万件を超えた
(2022年2月10日追加)
コロナ保険の保険料の概算
このように、値動きの激しいコロナ保険。純保険料を以下の前提で、概算してみました。
- 保障期間は3か月
- 保険金は5万円
簡便のため、加入年齢は考慮せず、人口一定(126百万人)として、「純保険料=3か月の新規感染者数÷人口」として計算してみます。
期間 | 3か月の新規感染者数 | 純保険料 | |
第一波 | 2020年3月~ | 16,530 | 7円 |
第二波 | 2020年7月~ | 64,399 | 26円 |
第三波 | 2020年11月~ | 288,399 | 114円 |
第四波 | 2021年3月~ | 313,456 | 124円 |
第五波 | 2021年7月~ | 902,361 | 358円 |
第六波 | 2022年1月~ | 3,170,661 | 1,258円 |
ここで、第六波の新規感染者数は、2022年1月の新規感染者数×3として計算しています。この純保険料の水準を見ると、保険料を1500円に引き上げざるを得なかった理由も納得できますね。付加保険料もあるので、1500円というのはギリギリの水準のような気がします。
実際には、逆選択やモラルリスクも加味して、保険料水準を決めるので、あくまでも概算ということで。
(2022年2月12日追加)
コロナ保険、感染拡大で苦境
2022年4月12日の日経新聞に、コロナ保険の販売状況が載っていました。
会社名 | 販売状況など |
ジャストインケース | 4月7日以降の入院開始なら入院給付金を1割に削減。3月31日に販売停止。 |
PayPay保険 | 2月10日から3か月分の保険料を従来比3倍の1500円に引き上げ。 |
第一スマート少額短期 | 月保険料を870~2万円の幅で変動。21年4月は980円、22年4月は7530円。 |
大樹生命 | 2月4日、販売から1か月半で販売停止。 |
太陽生命 | 医療保険の特約でコロナ感染を補償。 |