金融庁、監督指針を改正し、生保販売で公的保険説明を求める

保険会社向けの総合的な監督指針の改正(2021年12月28日)

  • 金融庁は、生保の営業手法に関する監督指針を改正
  • 保険会社向けの監督指針に「公的年金の受取試算額などの公的保険制度についての情報提供を適切に行う」といった規定を盛り込んだ
  • また、「公的保険を補完する民間保険の趣旨から、保険募集人が制度を適切に理解するよう教育」「顧客が自らのライフプランなどを踏まえ、保障の必要性を適切に理解した上で契約を結ぶよう配慮する」といった規定も盛り込まれた。
  • 指針の改定に伴い、生命保険協会も自主ガイドラインを改定予定。

2021年12月28日の日経新聞に「さらに指針は、民間保険を「公的保険を補完する」と位置付けた」とありました。

保険業法の第1条に「保険業の公共性」という言葉が出ています。

この法律は、保険業の公共性にかんがみ、保険業を行う者の業務の健全かつ適切な運営及び保険募集の公正を確保することにより、保険契約者等の保護を図り、もって国民生活の安定及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

保険業法第1条

錦野・稲田(2017)は、「保険業の公共性」を以下のように説明しています。

①保険は、社会に発生する様々な危険に備え、万が一事故が発生した場合には国民の経済生活を保障するという重要な役割を果たしていること、

②保険は、公的保障の補完や被害者の救済という役割を果たしていること、

③保険会社は、保険商品の販売により保険料として資金を受け入れ、資産の運用の一環としてこれを資金需要者に供給するという金融仲介機関としての役割を果たしていること、

により、国民生活の安定および国民経済の発展に貢献していること、をいうもの

三訂版「保険業法の読み方」

②にあるように、「保険業の公共性」には、「公的保障の補完」という意味合いも含むので、今回の改正では、監督指針の中でそれを明確化したということでしょうか。

ちなみに、DBの場合は明確に「公的年金の給付と相まって」という文言が入っているので、年金業界の人から見ると、今回の改正は、至極当然にみえると思います。

この法律は、少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定給付企業年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

確定給付企業年金法第1条

日経新聞の記事に対して、社会保険労務士の井戸さんは「まずは、自らが社会保険に詳しくなること。同時に広報や相談など地道な活動の浸透が図られることが望まれます」とコメントしています。

ということで、公的年金を「見える化」するための、厚労省の地道な広報活動を列挙してみます。

公的年金の「見える化」のための厚労省の取り組み

年金広報検討会

この検討会の位置づけは以下の通り。

  • 「人生100 年時代」において、人々は教育・仕事・引退等、マルチステージの人生を送るようになる。
  • また、老後期間の長期化等に備え、引退後の所得について公的年金と企業年金、個人年金等を適切に組み合わせていく必要がある。
  • さらに、公的年金に対する国民の信頼感の向上を図るとともに、情報の受け手である国民の目線に立った分かりやすい年金広報の実施が求められている。
  • このような観点から、個別の年金広報事業のほか、現状や課題を踏まえた今後の年金広報のあり方の検討に関して技術的な助言を得るため、有識者等からなる本検討会を開催する。

学生との年金対話集会

学生と厚生労働省の職員が、年金をテーマに語り合うことを通じて、学生が年金について考えるきっかけにするとともに、学生からの意見や指摘を今後の年金行政に活かすことが目的。

令和の年金広報コンテスト

  • 厚生労働省年金局では、次代を担う 若い世代の皆さまと一緒に年金について考えることを目的として、「令和の年金広報コンテスト」を開催。
  • このコンテストでは、年金の意義や、保険料を納めて年金を受け取る手続きを取ることの大切さが、多くの皆様に広く伝わるような作品を募集。

社会保険適用拡大特設サイト

適用拡大に関連する情報をまとめたサイトです。

年金について日本一わかりやすく説明しようと思ったらこうなった

以下のYoutube動画は面白いので、ぜひ視聴ください!

第2弾の動画を追加しました!これも面白い!(2022年4月2日に追加)

WEB専用学習まんが『年金のひみつ』

小学校の図書館でみかけた「ひみつシリーズ」にも年金が登場しています。

結構、たくさんありますね。

年金関係者の方でも知らないものがあるかもしれません。

こういった情報を、どうやって国民に届けるのか。本当に難しいのは、作ることではなく、届けることだと思います。日経新聞やパブコメの回答をみると、いろんな声があるようですが、保険業法の第1条にあるように「保険業の公共性」をかんがみると、保険業界が担うことは自然な流れではないでしょうか。

(2022年4月21日に追記)

金融庁が「保険を契約している方へ」のページを公開しました。

(2022年4月26日に追記)

スマホで簡単「公的年金シミュレーター」の試験運用がスタート。

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